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2006年/アメリカ/135分
2007年日本公開
原題:The Holiday
監督・脚本・製作:ナンシー・メイヤーズ
製作:ブルース・A・ブロック
出演:キャメロン・ディアス/ケイト・ウィンスレット/ジュード・ロウ/ジャック・ブラック/イーライ・ウォラック
映画『ホリデイ』ストーリー(あらすじ)
ロンドンで新聞社に勤めるアイリス(ケイト・ウィンスレット)は、同僚の男に3年間も都合のいい女にされたあげくにフラれてしまう。
同じころ、ロサンゼルスで映画の予告編集を手がけるアマンダ(キャメロン・ディアス)は、浮気した同棲相手を追い出し、数週間、どこか別の場所で暮らそうと決意する。
インターネットの自宅交換サイトで行き先を探していたアマンダは、アイリスの家が貸しに出されているのを見つけ、ふたりは2週間、お互いの家を交換することになる。
交換したそれぞれの家で、アマンダはアイリスの兄グレアム(ジュード・ロウ)と、アイリスはアマンダの友人である作曲家のマイルズ(ジャック・ブラック)や、往年の脚本家アーサー(イーライ・ウォラック)と出会う。
映画『ホリデイ』レビュー(感想)
人間を見る優しいまなざしと映画へのリスペクト
本作を語るうえでまず特筆すべきは、ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンが主演した『恋愛適齢期』(2003年)で大ヒットを記録したナンシー・メイヤーズ監督が、本作でも脚本を書き、メガホンを取り、しかも、キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックという、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったキラ星のような俳優陣が惜し気もなくキャスティングされていることだろう。
豪華俳優陣がキャスティングされている映画というのは、期待値が大きすぎるゆえか、力が入りすぎてしまうからなのか、なぜか映画の出来はイマイチということも起こりがちだが、本作はもちろん違う。全然違う。
そのこころは、『恋愛適齢期』で十二分に証明されたナンシー・メイヤーズ監督の、“ロマンチックコメディの(演出のほうの)女王”とでも呼びたい(いや呼んでしまおう)脚本力、演出力がここでも存分に発揮されているからだ。
ナンシー・メイヤーズ脚本・監督がうまいのは、主役4人の恋愛模様だけにとどまらない。
アマンダが母を亡くした幼いグレアムの娘たち二人と部屋の中に張ったテントに寝転ぶシーン、アイリスがかつて活躍した脚本家アーサーの硬くなった心を少しずつほぐしていくサイドストーリーなど、たんなる恋愛映画の枠を超えて、人間を見る優しいまなざしがそこかしこに感じられるのである。
また、この映画から伝わってくるのは、先達である映画人や、映画芸術そのものに対するリスペクトである。アマンダの仕事が映画の予告編制作、マイルズは映画音楽作曲家という設定もそうだが、老脚本家アーサーを演じるイーライ・ウォラック(本作公開時91歳)は、『荒野の七人』(1960年)をはじめ数々の名作、話題作に出演した名優だし、マイルズがレンタルビデオ店で『卒業』(1967年)を手にして劇中曲「ミセス・ロビンソン」を歌うシーンには、なんとあの人(!)が登場している。そこかしこに映画愛が溢れているのだ。
あと、この映画がいいのは、見ていてつらくなるシーンがほとんどなく、ハッピーエンドであること。『恋愛適齢期』もそうだったが、人生の機微が描かれていて、そんでもってハッピーエンド。こういう作品は、疲れたとき、ちょっと弱ったとき、何度でも見たくなるし、そのつどちゃんと面白い。おすすめです。
『ホリデイ』のナンシー・メイヤーズが
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