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2019年/フランス・ベルギー/R15+/96分
日本劇場未公開
原題:The Mustang
監督:ロール・ドゥ・クレルモン=トネール
脚本:ロール・ドゥ・クレルモン=トネール/モナ・ファストヴォールド/ブロック・ノーマン・ブロック
製作総指揮:ロバート・レッドフォードほか
出演:マティアス・スーナールツ/ジェイソン・ミッチェル/ブルース・ダーン/ギデオン・アドロン/コニー・ブリットン/ジョシュ・スチュワート
映画『ムスタング』ストーリー(あらすじ)
ローマン・コールマン(マティアス・スーナールツ)は感情の抑制がきかず、妻に暴力を振るって大けがを負わせ、刑務所に収監されている。服役してからも自分を変えることができず、社会復帰への道筋が見いだせないローマンだったが、更生プログラムの一環として、ムスタング(野生馬)の調教を任されることになる。ローマンが担当したのはひときわ気性の荒い馬で、5週間後には調教した馬のオークションが開催されることになっていた。
映画『ムスタング』レビュー(感想)
野生馬に手こずるローマンに、調教プログラムの先輩ヘンリー(ジェイソン・ミッチェル)が放った「馬をコントロールするには、自分をコントロールしなきゃ」という言葉。本作のテーマが集約されたようなセリフです。
気性の荒い野生馬は、まさにローマンそのもの。ローマンは野生馬と向き合うことで、自分自身と向き合うことになるのです。
最初は思いどおりにならない馬を殴りつけていたローマンでしたが、やがて馬を愛おしみ、頰ずりをするまでに。
馬との絆が深まり、信頼関係が生まれるのにともなって、ローマンと娘の向き合い方にも変化が。以前は面会に来た娘を追い返していたローマンでしたが、娘に手紙を書いて面会に来てもらい、「いつか埋め合わせをしたい」と言えるまでに。成長とは相手を尊重する術(すべ)を学ぶことなのかも。
結末は、結果よりも過程、チャレンジそのものに意味があるというメッセージのようでもあり、より包容力が感じられる終わり方だと思いました。
そうそう、調教プログラムの親方を演じているブルース・ダーン。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2013年)や『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』(2019年)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)など、年齢を重ねるほどに存在感がいや増していて、この作品にも厚みと信頼感をもたらしているように感じました。