みなさんはフードオンフード問題についてどうお考えですか?
そう、全国2000万人、全世界で10億人が頭を悩ませているといわれるあのフードオンフード問題です。パーカー(当然フード付き)の上に、これまたフード付きのアウターを着ると、フードが重なってしまうというあれです。
頭はひとつなので、常識的に考えればフード二つは必要ありません。フードを被った上からさらにフードを被れば、暖かいかもしれませんが、さすがにこんなバカげた着方をしている人は見かけません。
多くの場合は、首回りにパーカーのフードをたるませ、その外側にアウターのフードをたるませることになるわけです。そこにマフラーでも巻こうものなら、首回りはもう大渋滞。そこでヤマネが冬眠を始めてもおかしくないくらいの、ダルダルのフカフカゾーンが出現してしまうのです。
いやいやいやいや、そんな人いる? とお思いのあなた。そういう人はいます。確実に。ここにひとり。なにを隠そう、尻隠そう、私こそ、フードオンフードで首回りを大混雑させてしまう、首回りダルダラー(適当)なのです。
なぜそんなことになるのかと疑問をお持ちの方も当然いらっしゃるでしょう。しかしここには、全米3万人が泣くかもしれない(泣いたとは言っていない)、込み入った事情が存在しているのです。
私は長いあいだ冬場のアウターとして、キルティングコート、革のダウンコート、ミリタリーコート(中綿入り)の三つをおもに着回してまいりました。キルティングコートはやや薄手なので、おもに初冬に着用し、ダウンコートとミリタリーコートは真冬に着用しております。このうち、キルティングコートとミリタリーコートにフードが付いております。
初冬のアウターとしては、MA-1(フライトジャケット)も持っておりますが、こちらはお尻が隠れないので寒いうえ、サイズがいまいちしっくりこないことから、しだいに出番が減ってしまいました。
また、ダウンコートはかなり暖かいのですが、革ということもあり、雨や雪の日の着用は避けたい、けっこう重いなど、取り扱いに気を遣う面もあります。一方、ミリタリーコートは、暖かさはダウンに引けを取らず、革ダウンより軽い、なによりデザインがかっこいい(お気に入りってやつです)ので、真冬にはどうしてもこちらの出番が増えがちなのです。
つまり、初冬、真冬ともフード付きのアウターがレギュラーポジションをがっちりとキープしているわけです。
それなら、中に着るものをフードなしにすればいいでしょうに、と多くの方がお思いでしょう。私もそう思います。思いますが、ここにも込み入った事情がございます。
かなり以前は、冬用のインナーとしては、セーター、それも多くはタートルネックのセーターを愛用しておりました。首は暖かいし、ジャケットを羽織っても、どんなタイプのコートでも、襟元もばっちり決まる。
けれどセーターは毛玉ができるし、なによりにおいが付きやすい(焼鳥や焼肉など食べ物のにおい、私自身は吸いませんが、タバコのにおい等)。においの付いたものをまた着るのはいやだし、だからといって着るたびにクリーニングに出すのも大変だし(家でも洗えないことはないでしょうが、そこまでマメではない)で、いつのまにかセーターは着なくなってしまいました。
それなら、トレーナーとか、シャツとか、フードが付いてないものはほかにもあるでしょうに、と多くの方がお思いでしょう。私もそう思います。思いますが、トレーナーはメガネをはずさないと着られないし、室内や店内で暑いなと思っても、カンタンに脱ぐこともできない。そんなのセーターだって同じだったでしょうにと言われればそのとおりなのですが、セーターを着なくなってから、頭からすっぽり被る系(プルオーバーと言うそうですな)の服を着るのが面倒になってしまったのです。
シャツはすっぽり被らなくても着られますが、ネルなどの厚手のシャツであったとしても、冬場のインナーとしてはもうひとつ頼りなくて、やっぱり寒い。
そこで冬のインナーとしてよく着るようになったのがパーカーです。パーカー、それもジッパータイプのもの(ジップアップと言うらしいですな)であれば、暑かったらジッパーを下げられるし、脱ぐのも着るのも頭すっぽり系にくらべてはるかにラク。春秋にはTシャツの上に着てもよし、シャツの上にアウターとして羽織ってもよしと、大活躍してくれるアイテムです。
かくして、パーカーのフードにコートのフードがオンしてしまうという私の冬場のスタイルが誕生、そして定番化してしまったのです。
実は何年か前に、フォーマルでいけるコートがないのは如何なものかと思い、ウールのチェスターコートを購入したのです。当時流行っていた、というのはよくわかっていなかったのですが、テーラー襟のチェスターコートなら、カジュアルな着こなしとしてパーカーの上に羽織ったとしても、フードオンテーラー襟となり、フードオンフードから脱却できるという目論みもあったのです。
が、ウールのチェスターコートはやはり重い。どうしても「今日はこいつで」とはなりづらく、フード付きのコート陣からレギュラーを奪うには至っていないのです。
同じアウター何年着てんだよ、軽くてフードのない、新しいの買えばよかろうに、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。私もそう思います。そう思いますが、なかなか「コレ!」というアウターがないのでございますよ。
そして、こんな私でも、ときには新たにアウターを購入してみたりもしているのです。と・こ・ろ・が…。私がいいと思うアウターはことごとくフード付き(そもそもカジュアル系のアウターにはフード付きが多いですよね)。新戦力を補強しても、なかなかフードオンフード状態から抜け出せないのでございます。
ちょっとネットで検索してみたら、フードオンフードはダブルフードとも呼ばれているようで、あまり堅いこと言わないで、それほどダブダブしてなければOKということでもいいんじゃない? という見解もある模様。
思えば、トレーナーを裏返しに着るとか、ジーンズをダメージ加工するとか、腰パンとか、ヘソを出すとか、靴の代わりに手袋を履くとか(ダウト!)、もっとさかのぼればお侍さんのチョンマゲとか(!?)、ファッションというのは合理性では説明できない面がありますよね。斬新すぎて廃れてしまったもの、今では当たり前になったもの、いろいろありますが、そう考えてみると、フードが重なるなんて、たいしたことじゃないような気もしてきます(ええ、開き直りましたとも)。
ということで、リクエストによるリプレー検証の結果、この問題は揉めに揉めたけどセーフ! フードオンフードスタイルは、そのうち、議論にすらならないくらいに定着していくのではないでしょうか(願望)。
だから街でフードオンフードの人を見かけても、後ろ指をさす、心の中でツッコむ等の行為はくれぐれもお控えください(懇願)。