日々のこと

本屋でトイレに行きたくなる件について

並んだ新刊書

本屋でもよおす。しかも大のほうを。わりと有名な案件です。誰かのエッセイでも読んだ覚えがあるし、知人から同様の報告を受けたこともある。

じつは私自身もその一派である。本屋で書棚を眺めていると、いつのまにかそわそわと、なにやら落ち着かない気分になってくる。やがて下腹のあたりからじわーっと便意がせり上がってきて、「排泄物あり! 排泄物あり!」「トイレを探せ! トイレを探せ!」と警報が発せられるのだ。

「また? かんべんしてくれよ」と無視を決め込もうものなら、便意はずいーんずいーんと強さを増していき、ついにはキュィーンキュイーンと、ウルトラホークが発進するときのようなアラームが頭の中に鳴り響き始める。こうなるともう観念するしかない。「トイレに駆け込め! 至急! 至急!」という声(大腸の)に急かされながら、書棚の前からいったん離脱することになるのだ。

これが地元の駅前にあるような小さな本屋だと、この現象はあまり起こらない。規模の大きな本屋だとこうなることが多い。

あと私の場合は、ツタヤでレンタルCDを選んでいるようなときにも、同じことが起こる。この場合も、駅前の小さなツタヤではあまりもよおさず、渋谷などにある大きなツタヤではもよおしがち。

以上のことから私は、次のような仮説を立てるに至った。本やCDといった同じようなものが大量に並んでいて、その中から1点ないしは数点選ばなければならない状況が一定時間続くと、脳みそが追いつめられて、いったんブレイクが欲しくなる。

しかし、夢中で本やCDを選んでいるこの野郎(本人)は、棚のあいだをあっちへ行き、こっちへ行きして、なかなか休憩しようとしない。ほうっておくと、いつまでもやっている。そこで疲れた脳は、こいつ(本人)を棚の前から離れさせるために、大腸に便の射出準備に入らせ、便意を生じさせ、トイレの個室に放り込むことで、無理やり休憩をとらせる。

このようなことが何回かあると、やがて条件反射で、大きな本屋やツタヤに行っただけで便意をもよおすようになる。小さな本屋やツタヤでは、本やCDの量がそこまでではなく、脳にもそれほど負担はかからないので、便意をもよおすことは少ない。

どうです、この仮説。人類最大の謎のひとつとされてきた、“本屋便意問題”をついに(わりとあっさりと)解明してしまった…かもしれません。

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